葉蘭(ハラン)の世界
お寿司の間仕切り等で使用される緑のビニール。
これが『バラン』です。
しかし元々はビニールではなく、蘭の葉っぱであった事はご存知でしょうか?
それが語源で「バラン」という言葉が出来ました。
ちなみにハランでもバランでもOKですが、店によって多少の違いがあるか
もしれませんが、ビニール製のものを『バラン』、生の葉製のものを『ハラン』
と言う場合が多いです。
そして『ハラン』には主に前出の蘭を使ったもの(葉蘭)と、熊笹を使ったもの
の2種類があります。熊笹によるものは一般的に「切り笹」とも呼ばれます。
逆に蘭で出来たものも「切り笹」と呼ぶ事もあります。
蘭の葉による「ハラン」は芸術性を高めたデザイン重視の飾りとして。
また熊笹による「ハラン」は寿司のあいだの空間を埋めるワンポイントの飾
りとして寿司職人のあいだで伝統を守りつつ受け継がれていきました。
簡単に分別しますと、
『バラン』・・・ビニール製のもの。
『ハラン』・・・蘭の葉のもの(葉蘭)。
『切り笹』・・・熊笹のもの。
※ビニール、蘭、熊笹全てをバランという時もあります。
※蘭、熊笹どちらも「ハラン」「切り笹」という時もあります。
←熊笹 ←葉蘭
しかし最近は その利便性からビニール製の『バラン』にその座を奪われ、
あまり一般の方の目に止まることの少なくなってしまった天然素材の「ハラン」。
ここで伝統を断ち切ってしまう事は先人達に申し訳ないという気持ちと、
このすばらしい技術をもっと皆さんに知ってもらいたいと言う気持ちから、
金寿司ではフィンガーボールの中の浮き笹として「切り笹」を使用しています。
また寿司皿にも大きいサイズの切り笹をお出しする事もあります。
ハランの出来るまで
一般的にハランを切る際に用いる道具は小さい出刃包丁(小出刃)を使用します。
しかしながら、小出刃ではあまり細かな仕事が出来ないので小さいハランを作る際は小刀や、カッターを使う事もあります。
細かな仕事は小刀やカッターが向いていますが、直線的なカットや軟らかいカーブなどは小出刃のほうが向いています。
※ 右から 普通の出刃包丁、小出刃、小刀、カッター
関所(せきしょ)や剣笹(けんざさ)など昔からある伝統的な切り笹については色々とバリエーションがありますが、
基本がありますのでそこだけおさえておけばあとは全体のバランスとラインの勢いに注意するだけです。
オリジナル切り笹は全くゼロの状態から原稿を作り、全てが繋がるように原稿を修正し、
またひとつの絵としてバランスが良いように陰影を計算し、
その後それを見ながら切らなければいけない為、大変手がかかります。
1、原画の選択
鯛の刺繍柄を切り笹にする事に決定。
2、原稿修正
原画を見ながら原稿を作成。
この際、黒白の2色で上手く絵を表現できるように修正。
(この作業が結構めんどくさいんですよー)
3、熊笹カッティング
焼き魚など、魚のお頭は左向きなので、笹も左向きに直してカッティング。
この際、アドリブで鯛の形を少しデフォルメして可愛らしくしました。
5センチ×8センチの鯛の切り笹の完成。
切り笹の見本
(6〜7年くらい前の作品が中心なので、正直余り巧くありませんwww)
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